茨城県北クリエイティブプロジェクト

Storm Field Guide 山本滋さん / 自然の中で自分を満たす仕事

水の上に浮く感覚、水面をスゥーと進んでいく気持ち良さ。高校生の時にやって以来、久しぶりにカヌーに乗り込むと、そんなことを感じて自然と笑みがこぼれてしまう。人混みや車の渋滞もなく、自然の中にゆっくり溶け込む時間がとても贅沢。ガイドして頂くのは常陸大宮市、常陸太田市を拠点に茨城県北の自然の中でアウトドアアクティビティを提供するStorm Fileld Guide(ストームフィールドガイド)代表の山本滋(しげる)さん。今回の茨城県北キーマンインタビュー取材は、カヌーの上で始まりました。

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カヌーに乗りながら取材。前方に見えるのが山本さん。気持ち良さでついつい取材を忘れます。

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今回取材させて頂いた、山本滋(しげる)さん。カヌーに乗る姿が、さすが抜群に似合います

清流、那珂川に魅せられて

茨城県北は自然の宝庫です。そんな中、関東随一の清流として知られる那珂川(なかがわ)は流域に自然が多く残されており、サケが遡上する川として有名です。そんな那珂川に魅せられ、山本さんは故郷の埼玉を離れ、カヌーやカヤックなどの水辺のアクティビティを体験してもらうStorm Field Guideを9年前に立ち上げました。

高校生の時から移動しながらキャンプして旅をするというのが好きで、埼玉出身の僕が一番最初にカヌーでキャンプツーリングをしたのが関東随一の清流と言われている那珂川で。やっぱり最初にやった場所ですし、大好きになったんですよね。なので、自分がこの仕事をやってみようと思った時に縁もゆかりもなかったんですけど、この場所を選びました。那珂川は急流がなく、静かにゆっくりと自然の景色や空気を堪能出来るんです。

kenpoku_interview_storm-3那珂川の河川敷にあるStorm Field Guideの事務所。

kenpoku_interview_storm-1最初はカヌー10艇くらいで細々と始めたとのこと。コツコツと積み上げてきた様子が山本さんから伝わります。

カヌーで移動しながら、ここに僕がいること、誰にも気付かれないだろうなという場所でキャンプするのが好きなんです。エビとか網で獲ってね、夜はそれを素揚げにして食べたりしてね。移動しながらキャンプするというのが自分は好きで、実はキャンプだけしに行くというのは1回もないです(笑)予定も特に決めずに、行き当たりばったりの旅が良いんですよね。あえて計画を決めない方が楽しいかなって。

Storm Field Guideを立ち上げる前は全く関係ない職種の会社員をされていた山本さん。週末のカヌーキャンプツーリングを楽しみに平日は乗り切っていたとのことで、金曜日のお付き合いは徹底的に断っていたそう(笑)それにしてもカヌーを愛し、川に魅せられ起業なんて…とてもロマンがあって良いなぁと思いますが、ここまで来るには大変苦労されたとのこと。

起業して2年目、東日本大震災

始めて2年目の時、東日本大震災だったんです。その年のゴールデンウィークの予約なんかも順調に埋まっていたんですが、311以降は全部キャンセル。諸々の支払いも目処が立たない状態で、一時は大好きだった仕事が嫌いになりかけました。この仕事を選んでしまったばかりにと。ただ、聞こえが良くなってしまうかもしれませんが、諦めたくなかった。だから、必死になって空いた時間でアルバイトをして、なんとか粘って粘って。本当にやっとですね、ここ3年くらいで軌道に乗り始めてスタッフなんかも雇えるようになってきたのは。

kenpoku_interview_storm-2近くの御前山がその風貌から関東の嵐山と呼ばれるそうで、そこからStormと名付けたそう。ですが、山本さんは「過酷な状況を乗り越えるという意味でもありますよね(笑)」

kenpoku_interview_storm-4スタッフの東京出身のかおりさんは、自然の中で仕事する楽しみを知ってこちらに移住。

震災は特殊な状況だと思うんですが、僕なんかも埼玉の出身でこちらで縁がないところから仕事を始めてますから、移住してこちらで何か自分のやりたいことを仕事にするという人の苦労は分かるんですよね。

実はStorm Field Guideでは、正規スタッフの他に繁忙期にインストラクターとして働くスタッフがいらっしゃるとのこと。皆さん本業が塾講師だったり、ゲストハウスを経営されてたりするようです。まさに本業を持ちながら、Storm Fileld Guideでカヌーやカヤックのインストラクターとして働きながら自分のやりたい仕事と両立させていく。今回、山本さんのインタビューに合わせて茨城県北で自分らしく仕事をする”きっかけワーク”として、Storm Fileld Guideのインストラクターを募集しています。詳しくは”きっかけワーク”のページをご覧下さい。

自然を感じる機会に

カヌーはアトラクションじゃないんです。自然をトータルで感じれる学びの時間。カヌーだけは別物だと思ってて。基本的には自分でどうにかしなければ、前にも後ろにも進めないですし。

山本さんが考えているのは、単に水辺のアウトドアのアクティビティを楽しんでもらうだけではなく、自然の中で楽しさを感じてもらうことで自然に興味を持ってもらうこと。公園でスマートフォンゲームが普通になっている今の子供たちに、もっと大きい世界と繋がるきっかけを作ること。インドの子供たちになぜ勉強するのかと聞いたところ、この川を綺麗にするため、と答えたエピソードを引き合いに出して、日本にはこういう感覚がないですよね、と山本さんは言います。

kenpoku_interview_storm-9カヌーツアーの途中に自然の只中にお邪魔します。

kenpoku_interview_storm-10普段は水量の多い滝になっているこの場所。今年は雨量が少ないからねと山本さん。雨量が少ないと自分達の生活に影響があることを体感しているのは、大人でも多くないように思います。

僕がいるこの10年でも那珂川の自然環境がどんどん変わってしまっていて、正直悔しいです。自分の力ではどうすることも出来ないかもしれないけど、それを伝えて、実感してもらうことは出来る。大人も子供も楽しそうだなということを入り口にして、自然環境に興味を持ってもらうことがこの仕事を通じて出来るんじゃないかなと思ってます。

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まず、自分を満たす。そうすれば他人も満たせる。山本さんの笑顔を見ると、そんなことが思い浮かんできました。

 

前述しましたが、”きっかけワーク”にて、山本さんが代表を務めるStorm Fileld Guideでのカヌーやカヤックのネイチャーアクティビティのインストラクターのお仕事の情報を掲載しています。(一人前のインストラクターなると、結構な高日給です!)繁忙期や希望に合わせて働けますので、茨城県北を舞台にクリエイティブな仕事と両立させるワークスタイルが可能です。詳細はこちらをご覧下さい。

Storm Fileld Guide
住所 / 茨城県常陸大宮市野口1151
営業時間 / 午前9:00~午後18:00(不定休)
HP / https://storm.cx

 

文・写真 / 山根 シン

山根 シン
映像作家 / ヒトモノコト編集家 1985年生まれ 神奈川県鎌倉市在住
大学卒業後、広告代理店兼出版社にて移住ライフスタイルをテーマにした雑誌の立ち上げに参加。その後千葉県九十九里に移住し、2014年フリーランスとして活動開始。ドキュメンタリー手法の実写をベースとした映像制作、ヒトモノコトを繋げるコンテンツ編集制作を行う。茨城県北クリエイティブプロジェクトでは、2017年4月よりウェブメディアのディレクターを務める。
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