茨城県北クリエイティブプロジェクト

街が動きはじめるのは“ここにしかないもの”を提供することから。|常陸太田・鯨が丘商店街「SUNNY SUNDAY」 店主・小泉正人さん (後編)

こんにちは、常陸太田在住のライター、山野井咲里です。前回ご紹介した「クリエイターと地域をつなぐ、街の雑貨やさん。常陸太田・鯨が丘商店街「SUNNY SUNDAY」店主・小泉正人さん (前編)」では、「SUNNY SUNDAY」とはどんなお店なのか、店主・小泉正人さんの地域とクリエイターをつなぐ活動についてご紹介しました。

今年で10周年を迎えた「SUNNY SUNDAY」。何もないところからはじめたお店が、地元だけでなく市外そして県外からのお客さんに支持されるまでに成長したのには理由がありました。

それは、「“ここにしかないもの”を提供する」ということ。

こだわって選んだ商品もさることながら、このお店には、“ここにしかないもの”が溢れています。

寂しい商店街の光景がずっと頭から離れなかった

SUNNY SUNDAY 店主 小泉正人さん

仕事と働き方に違和感を覚えながら日々を過ごしていた会社員時代、あるとき地元に帰省した際、小泉さんはふと商店街の様子が客観的に見えたそうです。

「すごく寂しい街だな、こんな感じだったかな」

いま店を構えている鯨ヶ丘に戻ってきたときに見た光景がずっと頭から離れなかったという小泉さん。

賑わっていた昔を知っているからこそ、商店街の寂しさに呆然としたとのこと。いま自分が「できること」と「やりたいこと」をこの商店街で表現しよう。そう思って始めたのが「SUNNY SUNDAY」でした。

今では遠方から来るお客さんや海外のファンも多いSUNNY SUNDAYですが、はじめた10年前は土日でも来客数は5人ほど。そもそも目の前の通りにも車は走っていないし、歩いているひとも珍しい、閑散とした状態だったといいます。

ここにしかない品揃え


店内に並ぶ種類豊富なマスキングテープ。

閑散とした街、そしてお店。なぜお客さんは来てくれないのだろう、と考えた時期もあったそうです。小泉さんには、そういう状況でも絶対に譲れない、大事なものがありました。
それは、「ここにしかないもの」を売るということです。

「SUNNYSUNDAY」には「ここにしかないもの」が溢れています。種類豊富なマスキングテープはお店でつくるオリジナル。そして、地元で活動する作家さんによる作品。それらは文字通りここにしかないものです。また地元では絶対に手に入らないような海外の文具や小物、紙もの好きにはたまらないアイテムなど魅力的な品々が並んでいます。

丁寧に選んだ「ここにしかない」商品を並べ、お店の扉を開けて忍耐強く待っていた小泉さん。そのうち、少しずつでも足を運んでくれていたお客さんによる口コミがきっかけで、しだいに賑わってくるようになりました。

「ひとの人生の中にちょっとだけ入り込むことで、お互いの人生がちょっとずつ変わる」

SUNNY SUNDAYでは、年に数回、店外スペースと隣接するギャラリーを利用して、マルシェを開催しています。

7月の10周年イベント初日はあいにくの天気でしたがたくさんのお客さんが訪れていました。

店舗に隣接するオープンギャラリー倉。

雨がちらつくあいにくの天気にかかわらず、このイベントを楽しみに待っていたお客さんで賑わっていました。

出店していたのは、キッチン用品や家具や食品などのミニチュアを制作しているRoom8 Miniatureさん、天然石でアクセサリーを制作するclocca さん、ファッションからインテリアまでオリジナルのテキスタイルを制作するfrumafar.さん、風合いのある消しゴムハンコを制作する江連判子. さん。みなさんが生き生きとお客さんと接する様子を見ていると、SUNNY SUNDAYがお客さんだけでなく、作家さんにも愛されているのがわかります。売り買いするだけでなく、人と人とが出会い、会話する場そのものを楽しんでいる。

ここには、魅力的な品揃えだけではない、もうひとつの「ここにしかないもの」がありました。

小泉さんのお話のなかで印象的だったのは、お店にやってくるお客さんのなかには商品を買う買わない関係なく、ただ話をしにくるひと、また、わざわざ試験が終わったことの報告にくる学生さんがいるということです。震災後の不安定な状況でもSUNNY SUNDAYに行けば小泉さんに会える、そう思ってお店を訪れるひとも多かったとのこと。

ここにしかないもの。それは「出会い」でした。それこそ、SUNNY SUNDAYが一番たいせつにしてきたことなのです。

それはお客さんにとってだけでなく、店主である小泉さんにとっても同じことのようです。お店を始めてから、会社員の時には考えられなかった出会いがあると小泉さんは言います。

お金はないけど夢がある、という若者の話が魅力的に感じます。ひとの人生のキラキラとした一片や、人の成長が垣間見える。お客さんと直に接する今の仕事だからこそ味わえる醍醐味です。
以前、お店にきていたお客さんの引っ越しの手伝いをしたことがあります。作家さんが発信するSNSの手伝いをすることもある。そうやって関わったことでまた新しい関わり方ができるんです。ひとの人生の中にちょっとだけ入り込むことで、お互いの人生がちょっとずつ変わる、そんな関係がいいなと思います。

お金だけではないやりとりがここSUNNY SUNDAYにはあります。小泉さんはこう言っていました。

本当にいいお客さん、いいひとたちに囲まれているんですよ。

地域のなかで商売をするひとの、心の底から湧き出ている言葉だと思います。小泉さんが実践する商いは、商品とお金をただ交換しているだけじゃない。私たちは地域の活性化について考えるとき、お金がまわる経済のことを考えがちです。あるいは、何か新しいことを始めようとするとき、やはりお金が重要だと思ってしまう。それらはもちろん、大事なことではあるのですが。

でも、小泉さんのお話を伺って思ったのは、お金は手段でも目的でもなくて、「関わり」の結果なのかもしれないということ。地域で生きていく者として、大きなヒントをもらった気がしました。

常陸太田を訪れることがあれば、ぜひ立ち寄ってほしいお店です。

「12月倉 2017」開催のお知らせ

常陸太田市鯨ヶ丘商店街オープンギャラリー倉から始まったイベント「12月倉」が今年も開催されます。鯨ヶ丘商店街を舞台に素敵な出店者が集まります。

詳細はFacebookイベントページを御覧ください。


SUNNY SUNDAY
住所 / 茨城県常陸太田市東一町2295-2
Tel / 0294-72-3025
HP / sunny-sunday.net
営業時間 / 10:00~19:00(日によって変更あり。各SNSでご確認ください)
定休日 / 木曜日(週2日休む場合あり)
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山野井咲里
フォトグラファー、ライター。
短大卒業後に留学した先のイギリスで、写真で身を立てることを決意。都内のスタジオでカメラマンのアシスタントを務めたのち、フォトグラファーとして雑誌やライブ撮影などに従事。子育て期間中に一度写真の仕事から離れるが、父の死をきっかけに地元・常陸太田にUターン移住。竜神峡のバンジージャンプの撮影の仕事に出会ったことで、諦めかけていた写真の仕事を再開。現在はフォトグラファーとしての活動の傍ら、ライター業にも挑戦している。
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