ステーブンス・ジョンソン症候群と毒性表皮壊死融解症:薬剤が引き起こす緊急事態
- 三浦 梨沙
- 13 1月 2026
- 13 コメント
SJS/TENのリスクチェックツール
服用中の薬剤をチェック
以下の高リスク薬を服用中の方は、症状に注意してください
薬を飲んだあと、急に発熱して皮膚に赤い斑点が広がり、水ぶくれができ始めた――こんな症状が現れたら、ステーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や毒性表皮壊死融解症(TEN)の可能性があります。これらは、まれですが命に関わる重篤な薬剤反応で、一刻を争う医療緊急事態です。
なぜ、薬がこんな反応を起こすのか
ステーブンス・ジョンソン症候群と毒性表皮壊死融解症は、同じ病気の重症度の異なる形です。皮膚の表面(表皮)が全体的に壊死し、剥がれ落ちるのが特徴です。SJSでは、体の表面積の10%以下が影響を受け、TENでは30%以上が剥がれます。10~30%の範囲にある場合は「重複症候群」と呼ばれ、どちらに分類されるかは治療方針に影響します。
この反応は、薬が体の免疫系を誤って刺激して起こります。免疫細胞が皮膚細胞を「敵」と誤認し、攻撃を開始。その結果、皮膚がどんどん壊れて、水ぶくれや大規模な剥離が起きるのです。発症は、薬を飲み始めてから数日~数週間以内に起こるのが多く、特にラモトリジンやカルバマゼピン、アロプリノール、スルファメトキサゾールなどの薬でリスクが高まります。
気づくべき初期症状
「ただの風邪かな?」と放置すると、大変なことになります。SJSやTENの初期は、風邪に似た症状から始まります。
- 38℃以上の発熱
- のどの痛み、頭痛、だるさ
- 目が痛い、目やにが増えた
- 口の中や唇に痛みやただれ
これらの症状が出てから1~3日で、赤みのある斑点が体中に広がり、すぐに水ぶくれに変わります。皮膚が「紙のように」剥がれるほどに進行することもあります。口、目、鼻、性器の粘膜にも大きな損傷が起き、食べ物を吞み込めなかったり、目が開けられなくなったりするケースも。
特に注意すべきは、ラモトリジンの使用中。この薬はてんかんや双極性障害の治療に使われますが、皮膚反応を起こしやすい薬の代表です。薬を急にやめて、また同じ量で再開したときにもリスクが高まります。医師が「少しずつ増量してください」と言うのは、この反応を防ぐためです。
どの薬が危険か?高リスク薬のリスト
すべての薬が危ないわけではありませんが、以下のような薬は特に注意が必要です。
- 抗てんかん薬:カルバマゼピン、ラモトリジン、フェニトイン、フェノバルビタール
- 痛風治療薬:アロプリノール
- 抗生物質:スルファメトキサゾール(セプトリンなど)、ペニシリン、セファロスポリン
- NSAIDs:メロキシカム、ピロキシカム(オキシカム系)
- 抗HIV薬:ネビラピン
特に重要なのは、構造が似た薬にも反応する可能性があることです。たとえば、カルバマゼピンでSJSを起こした人が、フェニトインを飲んだら再発したというケースはよくあります。だから、一度SJSやTENを経験した人は、関連する薬すべてを避ける必要があります。
誰がリスクが高いのか
誰でもなる可能性はありますが、以下の人は特に注意が必要です。
- 過去に薬で皮膚反応を起こしたことがある人
- エイズやがんの化学療法で免疫が弱っている人
- ラモトリジンとバルプロ酸を一緒に飲んでいる人
- 家族にSJS/TENの既往歴がある人(遺伝的要因の可能性)
- アジア系(特に中国、タイ、韓国)の人々は、HLA-B*15:02遺伝子保有率が高く、カルバマゼピンによるSJSリスクが特に高い
日本でも、HLA-B*15:02のスクリーニングが、カルバマゼピンの処方前に行われることが増えています。これは、発症を防ぐための重要な予防策です。
診断はどのようにするのか
皮膚の見た目だけで判断はできません。医師は、まず皮膚生検を行います。皮膚の一部を採取して顕微鏡で見ると、表皮全体が壊死していることが確認できます。炎症はほとんど見られず、皮膚が「溶けたように」剥がれているのが特徴です。
また、皮膚の剥離面積を計算して、SJSかTENかを分類します。これは、治療の強さや入院先(一般病棟か集中治療室か)を決める基準になります。
治療は?命を救うための対応
まず、原因となった薬を即座に中止することが最も重要です。薬をやめても、反応は進行することがあります。そのため、すぐに病院へ行き、専門的なケアを受けなければなりません。
治療は、やけど患者のケアに似ています。多くの場合、やけど専門病棟や集中治療室で管理されます。
- 皮膚の保護:剥がれた部分に無菌のガーゼを巻き、感染を防ぐ
- 水分・栄養補給:口が開けられなければ、点滴や胃カテーテルで栄養を補う
- 痛みの管理:強い痛みに対して、鎮痛薬を慎重に投与
- 感染予防:抗生物質は予防的に使わないのが原則。感染が起きたら、その時点で使用
免疫を抑える薬(ステロイドや免疫グロブリン)の使用は、医師の判断で行われますが、効果はまだはっきりしていません。今は、体を支える「対症療法」が中心です。
どれくらい危険?死亡率と長期的な影響
SJSの死亡率は約5%、TENでは30%以上に達します。死の原因は、ほとんどが敗血症や多臓器不全です。肺塞栓、心筋梗塞、消化管出血、肺水腫も合併症として起こります。
命を拾ったとしても、長い後遺症と向き合うことになります。
- 目の後遺症:乾燥、光過敏、まぶたがくっつく(対合性瘢痕)、角膜に傷が残り、視力が落ちる。30~50%の人が、何らかの視覚障害を残す
- 皮膚の変化:色素が抜けたり、傷跡が残ったり、汗をかきにくくなる
- 爪や髪:爪が変形したり、抜け落ちたり、頭髪が薄くなる
- 口の中:歯茎が腫れ、口が渇き、歯周病が進む
- 性器の問題:女性では膣の狭窄、男性では包皮の癒着(包茎)が起こる
眼科の定期検査は、回復後も最低1年は必要です。目は、最も深刻な長期合併症を起こしやすい部位です。
どうすれば防げるのか?予防のカギ
この病気は、完全に予防できないとは言えません。
- 高リスク薬を始めるときは、最初の3ヶ月は特に注意。新しい薬や食品は控える
- ラモトリジンなどは、必ず医師の指示通りに少しずつ増量する
- 過去にSJS/TENを起こした人は、関連薬すべてを避ける。薬の名前を記録して、すべての医師に伝える
- アジア系の患者は、カルバマゼピンを使う前に遺伝子検査を受けることを検討する
- 皮膚に赤みや水ぶくれができたときは、「薬のせいかもしれない」と考え、すぐに医療機関へ
「そんなにまれな病気だから、心配いらない」――これは、とても危険な考えです。SJS/TENは、100万人に数人しか起こらないとされています。でも、起きたら命に関わる。だからこそ、初期のサインを知ることが、自分を守る第一歩です。
もし、あなたが薬を飲んでいるなら
「自分には関係ない」と思っていても、薬は誰にでも起こる可能性があります。特に、てんかん、双極性障害、痛風、HIV、慢性の痛みで薬を長く飲んでいる人は、注意が必要です。
薬を飲み始めた直後、または量を増やした直後に、体に変化があれば、すぐに医師に相談してください。皮膚の異常は「軽いアレルギー」だと思わず、「命のサイン」として受け止めてください。
あなたが気づくのが早ければ、治療のチャンスは大きく広がります。医師も、家族も、あなた自身も――この病気の怖さを知ることで、命を守れるのです。
ステーブンス・ジョンソン症候群は、どの薬で起こりやすいですか?
特にリスクが高いのは、抗てんかん薬(カルバマゼピン、ラモトリジン、フェニトイン)、痛風治療薬(アロプリノール)、抗生物質(スルファメトキサゾール)、一部の鎮痛薬(メロキシカム、ピロキシカム)です。これらの薬を飲み始めた直後に皮膚に異常が出た場合、すぐに医療機関を受診してください。
一度SJSを起こしたら、また同じ薬は飲めますか?
絶対に飲んではいけません。同じ薬だけでなく、構造が似た薬(例:カルバマゼピンで起こしたならフェニトイン)にも反応する可能性があります。薬の名前をしっかり記録し、すべての医師や薬剤師に伝えてください。
SJSの初期症状は、風邪とどう違うのですか?
風邪はだいたい1週間でよくなります。しかしSJSでは、発熱やのどの痛みに加えて、1~3日で赤い斑点が広がり、水ぶくれや口の中のただれが急に現れます。皮膚が剥がれるような感覚や、目が開けられない、食べ物が飲み込めないなどの症状があれば、風邪ではなく、緊急事態と判断してください。
SJSは遺伝するのですか?
SJSそのものは遺伝しませんが、体が特定の薬に反応しやすい体質は、遺伝的要因(HLA遺伝子)によって影響を受けます。特にアジア系の人では、HLA-B*15:02という遺伝子を持つ人が、カルバマゼピンでSJSを起こしやすいことが分かっています。家族にSJSの既往歴があるなら、医師に伝えておくと安全です。
SJSを起こした後、どれくらいの期間、経過観察が必要ですか?
皮膚の回復は数週間ですが、目や口、性器の後遺症は長く残ります。特に目は、回復後も少なくとも1年は眼科で定期検診が必要です。皮膚科、眼科、歯科、泌尿器科など、複数の専門医による長期的なフォローアップが、生活の質を守るために不可欠です。
コメント
Akemi Katherine Suarez Zapata
これ、薬飲んでる人なら絶対読んどくべきだよ。ラモトリジン飲んでた友達が発症して、病院に運ばれたとき、もう手遅れって感じだったから…
本当に、『風邪かな』で済ませちゃダメ。
1月 14, 2026 AT 07:07
芳朗 伊藤
この記事、医学的に正確ではあるが、文法的にもたらしくない。『水ぶくれに変わります』は『変わります』ではなく『変化する』が適切。そして『紙のように剥がれる』は比喩として不適切。専門家ならもっと正確に書くべき。
1月 15, 2026 AT 11:02
ryouichi abe
僕も昔、アロプリノール飲んでて、ちょっと皮膚かゆくなって、すぐ病院行ったんだよね。先生が『これ、SJSの前兆かも』って言って、即中止してよかった。でも、薬の説明書に『皮膚反応』ってだけ書いてあるから、普通の人にはわからないよね。
こういう情報、もっと広まってほしい。
1月 15, 2026 AT 16:31
Yoshitsugu Yanagida
『100万人に数人』って書いてあるけど、それって『あなたには関係ない』って言い訳に使われてるよね?
『関係ない』って思ってる奴が、一番やられやすいんだよ。笑
1月 16, 2026 AT 03:50
Hiroko Kanno
『ラモトリジン』って、めっちゃよく処方される薬なのに、こんなに危険って知らなかった…
薬の名前、ちゃんと覚えておこう。あと、『少しずつ増量』って、医者もちゃんと説明しないとダメだよね。
1月 16, 2026 AT 22:02
kimura masayuki
アジア系が遺伝子で危険って、また『日本人は特別』って話か?
アメリカでは白人もSJSになるし、遺伝子で差別するなよ。日本人は過剰反応しすぎ。薬を怖がりすぎ。
1月 17, 2026 AT 21:00
雅司 太田
母がTENで入院した。3週間、目が開けられなくて、栄養はチューブで。皮膚が剥がれて、看護師が泣いてた。薬は全部、医者に渡して、『これで発症した』って書いた紙を貼ってもらった。
命を守るには、自分が一番の守り手。
1月 18, 2026 AT 22:41
Hana Saku
この記事、『薬を飲んでる人は注意』って書いてるけど、そもそも薬を乱用してる人が悪い。自己判断で薬飲んでる人間が、こんなに多いのが問題。薬は神様じゃない。自己責任。
1月 19, 2026 AT 17:20
Mari Sosa
目が見えなくなるって、想像できないよね。
でも、それが現実。だから、赤い斑点が出たら、『薬のせい』って、すぐ疑う。それが、日本の未来を守る。
1月 21, 2026 AT 12:07
kazu G
ステーブンス・ジョンソン症候群の診断基準は、皮膚生検と剥離面積の評価が不可欠である。治療は対症療法が主体であり、ステロイドの使用はエビデンスが不十分である。薬物の中止は即時性を要する。
1月 22, 2026 AT 22:42
Maxima Matsuda
『薬をやめたら治る』って思ってる人、多いけど、それって最大の誤解。
薬をやめても、免疫が暴走してるから、皮膚はどんどん剥がれる。
だから、病院に走る。それだけ。
1月 24, 2026 AT 08:26
kazunori nakajima
ラモトリジン、俺も飲んでた。増量する前に、ちょっとだけ赤い斑点出て、やめた。医者に怒られたけど、正解だった。今、元気です :)
1月 26, 2026 AT 00:42
Daisuke Suga
これ、単なる薬の話じゃない。日本の医療が、患者に『情報』をちゃんと渡せてないってことだよ。
薬の説明書は、『副作用:皮膚反応』って、まるで『ちょっとかゆいかも』って言ってるみたい。
でも、それは『あなたの皮膚が爆発する可能性があります』ってことなんだよ。
医者は、『この薬はあなたを殺すかもしれない』って、ちゃんと口に出せない。だから、ネットでこういう記事が、命を救う。
だから、ありがとう。この記事、シェアする。誰かの命が、この文字で救われる。
1月 26, 2026 AT 03:10