ジェネリック医薬品の交渉還付:保険が実際に支払っている金額
- 三浦 梨沙
- 3 1月 2026
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ジェネリック医薬品は、薬の価格を下げるための最も効果的な手段の一つです。アメリカでは、処方された薬の90%がジェネリックですが、その費用のほとんどは患者が直接支払うのではなく、保険が負担しています。でも、保険が実際に支払っている金額は、あなたが思っている以上に複雑です。特に、ジェネリック医薬品には、ブランド薬のように大きな「還付」が存在しないのです。
ジェネリックには「還付」がほとんどない理由
ブランド薬には、製薬会社が薬局管理会社(PBM)に大きな還付を支払う仕組みがあります。たとえば、薬の定価が100ドルで、PBMがその薬を保険プランに優先的に載せると、製薬会社は30~70ドルを還付します。この還付は、保険の支払額を下げ、結果的に「コスト削減」として見せかけます。 しかし、ジェネリックは違います。ジェネリックは、複数のメーカーが同じ成分を製造しているため、価格競争が激しく、定価自体がすでに低くなっています。1錠あたり0.15ドル~2ドル程度が普通です。このような低価格では、製薬会社が還付を提供しても、PBMの利益になるほどの余裕がありません。そのため、ジェネリックには「還付」がほとんど存在しないのです。保険が支払っているのは「定価」じゃない
ジェネリックの価格を理解するには、PBMの「スプレッド価格」の仕組みを知る必要があります。PBMは、保険会社に「薬の定価」を請求します。たとえば、あるジェネリックの定価が8.50ドルだとします。しかし、実際にはPBMが薬局から調達している価格は4.25ドルです。この差額の4.25ドルが、PBMの利益になります。保険は8.50ドルを支払ったつもりでも、実際の薬のコストは4.25ドル。残りの4.25ドルは、PBMが手にしています。 この仕組みは、患者や保険者が気づかないように設計されています。保険の明細には「ジェネリック薬:8.50ドル」と表示されますが、その内訳は一切開示されません。多くの企業が、自社の保険プランでジェネリックの実際のコストを把握できていないと報告しています。2023年の調査では、大手企業の68%が「ジェネリックの実際の購入価格を特定できない」と答えています。ジェネリックが使われない理由
この仕組みは、逆にジェネリックの利用を阻害しています。PBMは、還付を多く得られるブランド薬を優先したがります。たとえば、あるジェネリックが1錠0.15ドルで、同じ効果のブランド薬が5ドルだとします。ブランド薬は60%の還付を提供するため、PBMは保険に5ドル請求し、製薬会社から3ドルの還付を受け取ります。すると、PBMの利益は3ドル。一方、ジェネリックは還付がゼロで、PBMの利益はわずか4.25ドル(スプレッド)ですが、薬の価格が低いため、保険の支払額も低くなります。 ここで問題が起きます。PBMは、保険プランの処方箋リスト(フォーミュラリー)から、低価格のジェネリックを外し、高価なブランド薬を優先します。その結果、患者は「ジェネリックが使えない」と言われ、高価な薬を処方されてしまうのです。これは、保険のコストを下げようとしているはずなのに、逆に費用を押し上げる仕組みです。
保険が実際に支払う金額は?
ジェネリックの場合、保険が支払う金額は、次の3つの要素で決まります:- 患者の自己負担(コ・ペイ)
- PBMが保険に請求する金額(定価)
- PBMが薬局に支払う金額(実際の購入価格)
- 患者の自己負担:3ドル
- PBMが保険に請求:8.50ドル
- PBMが薬局に支払う:4.25ドル
なぜこの仕組みが続くのか?
このシステムが続くのは、透明性が欠如しているからです。PBMは、自社の収益構造を明かさないことが法律的に許されています。多くの保険プランは、PBMと契約する際に「スプレッド価格」の存在を知らずに契約しています。特に、中小企業や自社負担型の保険では、PBMの請求額が「実際のコスト」だと信じて支払っています。 2024年、アメリカの労働省は、PBMがジェネリック薬の実際の調達価格を保険に開示する義務を求める新たな規則を検討し始めました。2025年3月には、CMS(メディケア・メディケイドサービスセンター)が、ジェネリック薬の価格透明化を推進する方針を発表。2026年までに、PBMは「ジェネリック薬の実際の購入価格」を保険者に開示することが義務化される見込みです。
あなたが今できること
もし、あなたが会社の健康保険を管理しているなら、次の3つの質問をPBMに聞いてください:- ジェネリック薬の実際の購入価格(WAC)はいくらですか?
- 私たちが支払っている金額と、薬局に支払っている金額の差額はいくらですか?
- その差額は、私たちの保険プランに還元されていますか?
将来はどうなる?
2025年以降、ジェネリック医薬品の価格構造は大きく変わります。連邦政府は、PBMの利益を制限する法律を次々と制定中です。2027年までには、ジェネリック薬の価格が「実際の調達価格+手数料」でしか請求できなくなる可能性があります。 その結果、保険が支払う金額は、今よりもはるかに明確になります。ジェネリックは、本来、安価で効果的な薬です。でも、その価値を最大限に活かすには、PBMの「黒い箱」をオープンにする必要があります。保険が本当に支払っているのは、薬の価格ではなく、PBMの利益かもしれません。その事実を知ることが、未来の医療費を抑える第一歩です。ジェネリック医薬品には還付がないのに、なぜ保険は高額に見えるのですか?
ジェネリックには製薬会社からの還付がほとんどありませんが、薬局管理会社(PBM)が「スプレッド価格」という仕組みで利益を出しています。保険が支払う金額は、薬の定価(例:8.50ドル)ですが、実際の購入価格は4.25ドル。差額の4.25ドルがPBMの利益になります。この差額が、保険の支払額を不透明にしています。
ジェネリックが処方箋リストから外される理由は何ですか?
PBMは、ブランド薬から得られる大きな還付(30~70%)を優先します。ジェネリックは還付がゼロなので、PBMは利益を減らさないために、ジェネリックを処方箋リストから外し、高価なブランド薬を推奨します。結果として、患者は安価なジェネリックを使えず、保険の支出が増えるという逆効果が起きます。
PBMとは何ですか?
PBM(薬局管理会社)は、保険会社や雇用主の代わりに、処方箋の管理、薬の価格交渉、支払いを代行する企業です。代表的なPBMはCVS Caremark、Express Scripts、OptumRxの3社で、アメリカの薬局市場の80%を支配しています。彼らは薬の価格設定と還付の流れをコントロールしており、透明性が低いことで批判されています。
ジェネリックの価格を下げるにはどうすればいいですか?
保険プランの契約を見直し、「スプレッド価格」をやめて、PBMに明確な管理手数料を支払う「パススルー方式」に切り替えることです。これにより、薬の実際の購入価格が明確になり、PBMの利益が見えます。2024年には、42%の企業がこの方式に移行しています。
2026年以降、ジェネリックの価格はどう変わる?
2026年までに、連邦政府はPBMにジェネリック薬の実際の購入価格を保険者に開示する義務を課す見込みです。これにより、スプレッド価格は禁止され、保険が支払う金額は薬の実際のコスト+手数料に限定されます。ジェネリックの価格は透明化され、患者と保険の負担が本当に減る可能性があります。